待望のおんな泣かせを手に入れることができた。
その存在を知ったのは5,6年前のことであろうか。
ある店に掲げられたこの張り紙。

今まで何度も買おうとはしているのだが、その都度売り切れで手に入れることができなかった。
元来秋から冬にかけて出回る品のようなのだが、今年も張り紙に気づいたのは啓蟄も間近のある日のことだった。
時期的にもはや絶望的と思えたのだが、一縷の望みを抱いて入店してみた。
この店、時折店主の息子の嫁が店番をしていることもあるのだが、この日の店番は店主だった。
男の店主なら切り出しやすいし、何しろその方面には明るいときているので好都合だ。
きっとおんな泣かせも店主自らが試して選んだ品なのであろう。
「おんな泣かせはありますか」
怖ず怖ずと聞いてみる。
「あるよ」
一瞬、店主の顔がニヤリとしたように見えたのは気のせいだろうか。
思わず、こちらもニヤリ。
同好の士ならではのやりとりである。
帰り際、店主がティッシュ1箱をくれてよこした。

長い前置きでしたが、そんなこんなで、やっと手にした「おんな泣かせ」とはこれです。

アップにしすぎました。

純米大吟醸「おんな泣かせ」であります。

それにしても気になるのは「おんな泣かせ」命名の由来。
「泣かせ」とは三省堂新明解国語辞典を引くと『取り扱いに困って、その存在が嫌われる・こと(もの)。「商人−・母親−:予報官−の菜種づゆ』とあります。
ただ、こちらの「おんな泣かせ」の場合は、蔵元によると女性もそのおいしさに泣けてしまうようなお酒であってほしいとの願いが込めらた名前とのこと。
気になると言えばラベルの美女が読んでいる手紙のようなものも気になります。
うれしくて泣けてくるようなことが書いてあるのでしょうか。
それにしては持ち方がちょっと雑のようにも見えます。
実はこの美女は花魁で、男に結婚を約束する起請文を書いてほくそ笑んでいる姿だったりして。
「これで三枚目でありんす」
辞書を引いたついでに他の女○○という言葉を調べてみました。
女狂い、女殺し、女好き、等々どれもこれも我が身には縁がない言葉ばかり。
その中にちょっと気になる言葉が。
[女たらし]
「ねえ、ねえ、何してんの?」

「オレも毛繕いしよっと。いい男は清潔感がなくちゃね」

「ねえ、どこ行くの」

「ちょっと待ってよ−」

「ねえってばー」

「ばか、ついてこないで」
女たらしは、先ほどの辞書(第三版)では「美貌と巧言とで次々に女性を誘惑し、遍歴することに生きがいを感じる反社会的分子」と、厳しく糾弾されています。
ニャンコよ、あまりしつこくすると、反社会的分子って言われちゃうぞ。
ただ、上のケースの場合、メス猫の言った「ばか」と言うセリフは、同辞書に記載されている「女性語で相手に甘える時の言い方」ととれば相思相愛と言うことでセーフでしょうか。
いずれにしても、このようなこと(反社会的分子のことでばかだったら言われてみたい?)を言われないよう、これからは自分を厳しく律していかなければならないと思った次第です。
でも、よく考えたら「美貌と巧言」もどちらも持ち合わせてないことに気づき、それは杞憂に終わったのでした。
それはそうと、肝心のおんな泣かせの初体験の話がまだでした。
半年間低温熟成された酒らしく、ふくよかな香りとまろやかな味のこの酒は、確かに女性に好まれて当然のような気がしました。
ただし、値段がいつも飲んでいる安酒の二倍以上(笑顔でティッシュまでくれた理由はこれでしょう)はするので、私のような貧乏オヤジが気軽に飲めるお酒ではなかったです。
おんな泣かせはオヤジ泣かせの酒でもあるのでした。
春ももう間もなく。路傍の草もだんだん色が濃くなってきました。

「また、おミャーか。たまにはミーを中心に撮るのニャ」
posted by tomochan at 15:48| 埼玉 ☔|
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